EUデータ法の施行に向けた
自動車OEMへのサポート

2025年1月2日

ご存知の方も多いと思いますが、2024年1月11日に発効したEUデータ法は2025年9月12日から施行されます。世界で最も成功を収めているいくつもの自動車ブランド向けにコネクテッドカーサービスを開発・運営してきた当社の長い業界経験と深い専門知識を活用し、WirelessCarはこの困難な移行期においてもOEMをサポートすることができます。

EUデータ法の概要

EUデータ法は、欧州連合(EU)域内におけるデータへのアクセスおよびその利用を規制することを目的としており、EUの広範なデジタル戦略の一環として、業界やセクターを問わず、データがよりアクセス・利用しやすく、セキュアであることを保証するものです。この法律は、イノベーションを促進し、競争を改善し、企業や政府がより良い意思決定を行えるよう、データの共有を可能にすることに重点を置いています。

実質的には、EUデータ法は、コネクテッド製品(コネクテッドカー、医療・フィットネス機器、産業・農業機械など)や関連サービス(照明の明るさを調整したり、冷蔵庫の温度を調節したりするアプリなど、コネクテッド製品を特定の方法で動作させるものすべて)のユーザーが、コネクテッド製品/関連サービスを使用することで共同作成したデータにアクセスできるようにすることを意図しています。この法律の主な目的のひとつは、データ経済における公平性を確立し、ユーザーが所有、レンタル、リースしているコネクテッド製品を使用して生成したデータから価値を享受できるようにすることです。

データに内在する価値

この種のデータが利用可能になれば、経済に大きな影響を与えることは間違いありません。たとえば、コネクテッド製品や関連サービスによって生成されたデータは、アフターマーケットや付帯サービスを強化したり、まったく新しいサービスを生み出したりするために利用することができ、企業と消費者の双方に利益をもたらします。このことから、法的な理由だけでなく、新しい法律に積極的に対応せざるを得ない経済的な動機もあると結論づけることができます。

Blog_EU Data Act Article 3

データ保有者とみなされる自動車OEMの義務

では、OEMはデータ保有者として何をすべきでしょうか?いくつかの重要な義務を要約すると、EUデータ法の規定を遵守するためには、コネクテッドカーからアクセスされるデータ、または関連サービスの提供中に生成されるデータに、ユーザーがアクセスできるようにしなければなりません。さらに、ユーザーが第三者とデータを共有する権利も確保する必要があります。この法律の施行によってもたらされる課題は明確であり、コネクテッドカー業界での豊富な経験を持つWirelessCarは、同様に明確な対応策を考案するお手伝いができます。

WirelessCarにできること

WirelessCarは、OEMが法令遵守をよりスムーズかつ効果的に実現する方法として、当社のEUデータ法ソリューションの可能性を探っています。このソリューションは、当社の技術的な専門知識と、自動車業界との長年にわたる確立された関係に基づいた強固な立場を基盤としています。このEUデータ法ソリューションは、以下の3つの主要分野に焦点を当てています。

  • データ管理:コネクテッド製品によって生成された、異なるOEMシステムに保存されているデータの集約と文書化により、OEMは関連データを共有することができるようにする。
  • アクセス管理:データ保有者がユーザー(コネクテッドカーの所有者など)、公共部門、第三者にセキュアなデータアクセスを提供できるようサポートする。
  • 使いやすさ:アクセスやデータ共有を管理する上でさまざまな関係者が必要とするプロセスとインタラクションをサポートするため、「ワンストップショップ」のタッチポイントを提供する。
Blog_EU Data Act Article 2

法令遵守を可能にするのは信頼性

これまで培ってきた貴重な経験のおかげで、EUデータ法に関して自動車会社が直面する課題について理解できているのと同時に、当社であればその解決策を生み出せるという信頼を得られているのだと確信しています。WirelessCarは現在、1,400万台のコネクテッドカーを運用しているため、複数のデータソースやシステムとの統合を実現するための実証された専門知識を有しています。OEMがWirelessCarのEUデータ法ソリューションを検討する際に注目すべきその他の要素を以下に示します。

  • WirelessCarプラットフォームは、OEMやOEMパートナーによって日常的に使用される文書化されたAPIによってオープンかつセキュアなものとなっている。
  • 相互運用性と標準化の目的をサポートするため、当社はデータ統合における現在進行中の業界イニシアチブを支持し、COVESAに積極的に参加している。
  • 当社は数年来、フリート/B2Bの分野において複数のOEMにデータアクセス管理を提供しており、EUデータ法へのアクセスにおいてもこの専門知識を活用していく。

このソリューションの主な特徴

このEUデータ法ソリューションがあれば、データ保有者は、消費者やビジネスユーザー、公共部門などとの関係において、その義務の大半を遵守できるようになります。自動車会社のコンプライアンス担当役員、研究開発部門、エンジニア、コネクテッドサービスの専門家、デジタルマーケティング&エクスペリエンスチームにとって、このソリューションは、新しい法律が生み出す技術的ジレンマの多くに答えるものです。その主な特徴を以下に挙げます。

  • 複数のデータソースや車両ドメインからデータカタログへの統合を簡素化する、データに依存しない注入メカニズム。
  • 直接的なダウンロード、または文書化されたオープンかつセキュアなAPIを通じた、ユーザーや第三者へのデータアクセスの管理。
  • すべての関係者のためのタッチポイントであるEUデータ法ポータルは、データの共有とアクセスをより合理的に行えるように設計されている。
  • 料金および補償の有効化(関連データに係るサービスに対して異なる当事者が支払いを請求される可能性がある場合)。
  • 「誰が、何を、いつ共有したか」の記録が可能に。
  • OEM統合のための標準化されたパターンを備えたオープンプラットフォーム。

お客様のビジネスがEU圏に進出したばかりであったり、社内のリソースに技術的なサポートが必要ではありませんか。どのような状況であれ、EUデータ法に関連する課題への対応についてWirelessCarがどのようにお手伝いできるか、またどのようなサポートを提供できるかについてご興味がおありでしたら、下記のメールアドレスまでご連絡ください。

また、当社の WirelessCarインサイトBlogでは、自動車サイバーセキュリティサイバーセキュリティ脅威インテリジェンスから機械学習UNR 155およびISO/SAE 21434まで、さまざまなテーマを扱った関連記事も掲載しています。

Matthieu Lainné
Business Development Manager