コネクテッドビジネス インテグレーターからイノベーターへ テレマティクスサービスプロバイダーからコネクテッドカーサービス会社へ 2023年5月30日 来年、WirelessCarは創立25周年を迎えます。控えめに言っても、WirelessCarの四半世紀の歴史は山あり谷ありで、1990年後半のテレマティクスサービスプロバイダーから、世界的なコネクテッドカーサービス企業へと成長を遂げました。インテグレーターからイノベーターへのこの進化は、私たちだけでなくお客様にとってどのような意味があったのでしょうか?ここでは、私たちのこれまでの道のりを決定づけたいくつかの重要な出来事を紹介し、それらが未来の進展にどのように貢献したかをご紹介します。 自動車テレマティクスの誕生 自動車のテレマティクスは90年代半ばに登場し、GPS位置情報、初歩的な車両データ、携帯電話通信技術のすべてが初めて統合されました。これらのテレマティクスサービスは非常に基本的な緊急サービスであり、主に自動的な衝突通報や故障時のロードサイドアシスタンスなどが含まれ、実質的には自動車事故通報と故障時の道路救援の最初のバージョンと言えます。送信されるものは、コネクテッドカーのデータですらなく、帯域内モデムを介して送信される、最終的にはテキストに変換される音声信号でした。 WirelessCarは、原始的ではあるものの、情熱と革新の意欲に満ちたこの技術的な環境の中で設立されました。2000年頃、WirelessCar がVolvo Cars社向けに最初のテレマティクスサービスを構築した当時、この種のサービスを提供するブランドとしては、世界で3番目、北米以外では最初のブランドとなりました。自動車のテレマティクスサービスの開発は、OEM固有の要件に基づいて今や現実のものとなりましたが、それはより詳細で複雑なデジタルトランスフォーメーションの始まりに過ぎませんでした。 自動車のテレマティクスの成熟に伴い、システム統合の範囲と複雑さが増大 2000年代に入ると、テレマティクスが成熟し、GSMや埋め込み式のセルラーデバイスが車に組み込まれるようになりました。2G GSMでは、ある程度のデータ送信は可能でしたが、それは不安定でセキュリティ保護されていないインターネット接続を経由していました。テレマティクスサービスプロバイダーであるWirelessCarの場合、当時は主に統合に焦点を当てていました。つまり、電話と車からの音声とデータをつなげ、それをOEMのバックエンドに包括的かつ有用な方法で接続し、必要な時に適切なデータをコールセンターと共有することが主な課題でした。 当社は、テレマティクスサービスプロバイダーおよびインテグレーターとして、物理的なオンプレミスのデータセンターを年中無休で365日稼働させる必要がありました。当時、OEMはそのような業務を運営するITの能力や組織を持ち合わせていなかったのです。さらに通信会社と契約し、携帯電話ネットワークプロバイダーから物理的な回線を当社のオンプレミスのデータセンターに接続し、そのデータセンターからコールセンターに接続させました。 これは確かに複雑な統合でしたが、現代のコネクテッドカーサービスやそれらに必要な創造性や顧客体験には、まだ遠く及びませんでした。しかしその後、革命的なデバイスが登場し、私たちの知る世界は一変しました。 新たなデジタルランドスケープと顧客志向のコネクテッドカーサービスの台頭 2007年から2008年にかけて、2Gから3Gへの進化とほぼ同時期にスマートフォンが登場しました。より広範でかなり信頼性の高いデータチャネルが開通し始め、そのおかげで以前よりも安価に大量のデータを送信できるようになりました。2000年代最初の10年の終わりに、WirelessCarは「My Vehicle Online」コンセプトを発表し、より顧客志向の特長やサービスが実装・パッケージ化され、単一で統一されたスマートフォンアプリとして顧客にアピールする方法を提示しました。これは、当時としてはまったく新しいアイデアであり、コネクテッドカーサービス会社への道のりの重要な一歩でした。 最近になって当社の製品ポートフォリオには、盗難車追跡やイモビライザーなどのセキュリティサービスが追加されました。とはいえ、これらのサービスは保険のようなもので、持っていると便利ですが、実際には滅多に利用されることは少なく、ユーザーが常に必要とするようなコネクテッドカーサービスとは程遠いものでした。では、ドライバーの日常生活を本当に向上させるためには何が必要なのでしょうか?そして、当社はどのようにして、単なるテレマティクスサービスプロバイダーから、顧客に焦点を当てたコネクテッドカーサービスの開発者になることができるのでしょうか? 当初は、ユーザーが車内の温度を調整できるサービス、リモートでのロックや解除、燃料レベルやバッテリーの電圧、タイヤの空気圧などを確認できるサービスを提供していました。これらは、現代の基準では基本的な機能ですが、21世紀のドライバーにとってデジタル製品やソリューションがどのようなものになり得るか(そしてそうあるべきか)という意味では、重要な転換点でした。 OEMのデジタルビジネスの機会とともに軌道に乗り始めたコネクテッドカーサービスのイノベーション 2010年代に入ると、コネクテッドカーサービスはもはや欧米市場でのみ利用可能な単なるプレミアム機能ではなくなりました。OEMは顧客志向のデジタルサービスとそれによって生み出されるデータや収益、コスト削減にますます関心を持つようになっていました。また、彼らはコネクテッドカーデータが新世代の車のエンジニアリングとデザイン、そしてドライバーや車両管理者へのメンテナンス情報提供にも活用できることに気づきました。 さらに、コネクティビティのおかげで、OEMは販売後も車の所有者との関係を維持できることに気づきました(これは歴史的に難しいとされていました)。新しいテクノロジーにより、車の所有者だけでなく、リース契約者やレンタルユーザー、乗車サービスの利用者などのブランドロイヤルティを、デジタルサービスを通じて時間をかけて促進し強化することができるようになりました。 技術シフトが加速する中で、私たちは固定電話や古い統合方法から脱却し始めました。その代わりに、オンプレミスのデータセンターからAWSなどの先進的なパートナーへとシフトすることで、クラウドを介した仮想的な接続が簡単かつ安全に確立・維持できるようになりました。以前よりも簡単でコストもかからず、よりダイナミックに安全な通信回線を確立できるようになったのです。 WirelessCarは、テレマティクスサービスプロバイダーとしての経験を持ち、デジタル化が進む自動車産業へ早くから参入にしていたため、当社の知識を素早く革新的なソリューションに変えることができました。その重要な側面のひとつは、市場の規制要件とその影響を迅速に理解し始めたことです。これにより、2014年から2015年にかけて、特に中国を含むアジアで複数のOEMがコネクテッドカーサービスを導入する際に支援することができました。さらに、欧州連合のGDPRやカリフォルニア州のCCPA、さらに厳しさを増す自動車のサイバーセキュリティ法制など、来るべき法規制の変化への備えも強化されました。 コネクテッドカーサービスの企業になること、そしてそれがWirelessCarのお客様にどのような意味を持つのか コネクテッドカーサービスの開発は、新しいデジタルサービスを考案し、それらを時間とともに改良していくだけではありません。以前にも増して、包括的でグローバルな視点を持つことが極めて重要です。OEMが顧客の期待に応えるだけでなく、具体的なサービスを提供し、革新的で業界をリードする役割を果たすにはどうすればよいでしょうか?車両のライフサイクルを通じて、優れた人気のあるコネクテッドカーサービスを提供するためにOEMは何ができるでしょうか?国内外のプライバシー法規制に対応し、変化する世界の中で自動車のサイバーセキュリティを最善の方法で管理するにはどうすればよいでしょうか? 自動車の電動化やAAOSなどの新技術は、スマートなEVルーティングやより簡単なEVバッテリー充電、新しい車載アプリ、向上したユーザーエクスペリエンスなど、あらゆる面で、非常に大きなイノベーションの可能性を秘めています。統合は依然として重要な要素であり、これまでどおり中心的な役割を果たしていますが、当社の重点は新たなテクノロジーが生まれてくる機会を捉え、OEMと協力して早急にそれを最大限に活用することにあります。 現在、WirelessCarは単なるシステム統合から、ますます拡大するイノベーションへと業務を進化させています。さまざまな規格品 やソリューションを開発し、OEMとその顧客に直接的な価値をもたらしています。当社は、OEMのニーズに応じて、完全なパッケージまたは特定のサービスを提供できるようにモジュール方式を採用しています。これにより、OEMのビジネスモデルの変化(従来型の所有車、オーナーシェアリング、共有モビリティ、OEMの直接消費者販売)を支援し、リコール/保証コストを削減する一方、ドライバーに対してはOTA(Over the Air)のアップデートを通じてより良いカスタマーエクスペリエンスを提供しています。 私たちは今、長年の努力の結果、グローバルなコネクテッドカーのサービス会社となりました。OEMにとって、WirelessCarは信頼性のある創造的なビジネスパートナーであるだけでなく、「実際に行動してきた」パートナーです。設立以来、常に学び、向上し続けてきた存在なのです。いろいろな意味で、私たちはまだ始まったばかりです。 この記事の内容についてご質問がある場合は、以下の連絡先からお気軽にご連絡ください。当社の取り組みやお客様、パートナーについては他の記事をご覧ください。さらに、当社のInsightsブログでは、自動車のサイバーセキュリティからコールセンターサービス、自動運転モビリティまで、さまざまな関連記事もご覧いただけますので、ぜひチェックしてみてください。 Jason Bartley 北米担当ディレクター ご連絡はこちらへ