コネクテッドビジネス 社会 ソフトウェア定義自動車が 気候に与える影響とは? 2022年9月13日 市場では、物理的な自動車と自動車製造が気候にどのような影響を与えるかについて大いに議論されています。もちろん、それは当然のことです。しかし、それとは対照的に、ソフトウェア定義自動車やコネクテッドカーのデータが気候に与える影響については誰も語ろうとはしません。自動車データの悪影響が比較的小さいのは事実ですが、コネクテッドカーとそのデータ利用機会が多くなると予想されており、カーボンニュートラルを実現するという野心的な目標もあるため、無視できない要素となっています。では、その影響とは実際にはどのようなものでしょうか?どのように測定・評価することができるのでしょうか?そして、自動車会社とソフトウェアプロバイダーは、その影響を軽減し、真に持続可能なモビリティを実現するために何ができるのでしょうか? コネクテッドカーのデータが気候に与える影響の測定 自動車業界が気候に与える影響について議論する場合、多くの重要な要素が関連しますが、原材料の採取と自動車の使用段階が特に重要であると考えられています。コネクテッドカーサービスなどのソフトウェアからの影響は通常は言及されることもありません。そもそも測定すらされていないのが実情です。この排出量はまだ比較的少ないのですが、グローバル市場におけるコネクテッドカーのシェアは増えており、データとデータ処理の大幅な増加と組み合わされ、これを無視したり軽視したりできないものになっています。 WirelessCarでは、気候影響測定分析を実施し、2020年のバリューチェーンにおける当社の気候フットプリントを確認しました。オフィスの暖房や電気の使用、出張、デジタルサービスの電力消費など、当社の活動のあらゆる側面や、バリューチェーンにおける当社の役割、そして当社が与える影響を調べました。当社の組織内にもいくつかの要因がありましたが、データの保存と伝送を実行するためのエネルギー使用からの排出量が最も大きなものでした。 コネクテッドカーのデータの保存と伝送に 再生可能エネルギーを使うことの重要性 他の多くのソフトウェア指向の企業と同様に、WirelessCarの排出量はハードウェアとは直接関係していません。しかし、当社が設計・提供するコネクテッドカーサービスでは、その他すべての影響要因を組み合わせたエネルギーの数倍にもなる大量のエネルギーを必要とします。特に、ドライバーがこれらのサービスを使用し、コネクテッドカーを運転中の場合などです。この場合、当社のデータセンター、車内、電話オペレータの消費電力は継続的に高くなります。そのため、エネルギー効率を高め、コネクテッドカーデータの保存と伝送に再生可能エネルギーを使うことが不可欠となっています。 データの保存や伝送を含めエネルギー使用の全体的な効率は着実に向上しています。不要なデータの処理を回避することは、コストや環境への影響の削減につながります。WirelessCarのようなソフトウェア企業にとってこれは、省エネ対策の効率について常に最新の状況を把握し、主なステークホルダーと密接な連絡を保ち、適切な計算方法を使用する必要があることを意味します。バリューチェーン内でエネルギーの使用効率を高め、この活動の結果に対する理解を深め、ソフトウェア定義自動車と持続可能なモビリティの気候関連の課題を克服するためのものです。 たとえば、Amazon Web Servicesとの協働により、データの保存と伝送に再生可能エネルギーを確実に使用することができます。コネクテッドカーサービスで必要なデータの量(と、それが時間とともに大幅に増えるという事実)を考えると、その保存と伝送に再生可能エネルギーを使うことは大きな違いを生みだします。これは、データサービスプロバイダーにとっても、ドライバーが車を使用するときにも当てはまります。 ソフトウェア定義自動車は より複雑なデータを必要とするようになる データの保存、使用、伝送はすべて多くのエネルギーを必要とするため、ソフトウェア定義自動車(データ駆動型自動車とも呼ばれます)が気候に大きな影響を与えることを意味します。これはソフトウェア定義/データ駆動型自動車を実現するプロセス全体に影響し、コネクテッドカーサービスの設計、これらのデジタルサービスの開始と継続的な提供、そしてもちろん、コネクテッドカーが稼働中のデジタルサービスの継続的な使用が含まれます。 ソフトウェア定義自動車がより一般的になり、技術的に高度化するにつれて、データの消費量はさらに増えていくでしょう。また、コネクテッドカーが賢くなればなるほど、自動車会社、デジタルサービスプロバイダー、そしてドライバー自身の要求に応えるには、より多くの、そしてますます複雑なデータが必要になります。これは電気自動車のみでなく、化石燃料で走る車、自律走行車にとっても課題になります。 さらに、コネクテッドカー向けのソフトウェアやデジタルサービスを扱うすべての企業の気候に与える影響も変化させます。つまり、すべてのステークホルダーがバリューチェーン全体とその中での自分たちの役割を確認し、提供する製品が与える影響を理解する必要があります。では、どこから始めればよいでしょうか? ソフトウェア定義自動車が気候に与える影響を 低減するための3つのポイント 1. コネクテッドカーのデータが及ぼす影響を具体的な数字で測定・評価する コネクテッドカーのデータは実際に気候にどのような影響を及ぼしているでしょうか?より大きなバリューチェーン内で貴社はどの位置にいて、バリューチェーンの持続可能性の向上にどのように貢献できるでしょうか?具体的かつ献身的な方法で取り組むことができるよう、実際の数値を把握しましょう。どれだけのデータを処理・伝送していますか?そのデータはすべて有用でしょうか?それとも、多くの不要なデータ(何の価値も生み出さず、コストを追加するだけのデータ)を処理していないでしょうか? 2. ビジネスパートナーと協力し、社内のリソースと専門性を最大限に活用する 強力なパートナーと緊密な連携をすることにより、自社だけではできないことも実現できます。たとえば当社は、Amazon Web Servicesと協力して、コネクテッドカーのデータをできるだけエネルギー効率よく、カーボンニュートラルに利用できるようにしています。エンドユーザーが再生可能電気/燃料を手に入れる支援も行っています。しかし、組織内での創意工夫と主導性も奨励されなければなりません。WirelessCarの場合、社内チャネルWirelessCaresは、自社の持続可能性活動に特化しています。ここでは、私たちの製品、ソリューション、そして働き方を可能な限り持続可能でエネルギー効率の高いものにするためのアイディアを社員同士で共有・議論することができます。 3. 持続可能なモビリティは、サステナビリティ・バイ・デザインによって実現される ソフトウェア定義自動車向けのスマートソリューションは、付加的なものではなく、ビルトインであるべきです。セキュリティ・バイ・デザインやプライバシー・バイ・デザインと同様に、コネクテッドカーサービスもサステナビリティ・バイ・デザインであるべきです。そうすることで、ソフトウェア定義自動車の進化とともに改良していくことが容易になり効率も高まります。つまり、すべての新しい製品とソリューションは、「持続可能なモビリティの進化にどう貢献できるか?」という質問に答えるものでなければなりません。 自動車メーカーとソフトウェア企業も気候変動への影響を削減するだけでなく、持続可能なモビリティに積極的に貢献するコネクテッドカーサービスを設計する必要があります。モビリティインサイトや持続可能性に対する当社のアプローチについては、このシリーズの別の関連記事もぜひご覧になってください。当社のブログをフォローして、私たちの活動や自動車業界のデジタルトランスフォーメーションについてもっと知ってください。モビリティの未来についての私の関連記事もお読みいただけると嬉しいです。 Sofia Granath 戦略、製品管理、パートナーシップ担当VP ご連絡はこちらへ